鎌倉彫手鏡の塗り直しのお話
日頃、手鏡の塗り直しについてお問合せを頂きます。漆器製品は長くお使い頂くと、下地層の漆が現れます。これは表面の漆が擦れることで、所々に下地に使われる黒塗りが覗き、アンティーク感が増し、何よりも時の経過と共に愛着が湧いてきます。
鎌倉彫は下地→中塗り→上塗りの順に、幾重にも塗りを重ねることで丈夫に仕上げることが出来ます。母から娘へと受け継がれた手鏡など古傷ひとつにも想い出があります。
そんな想いの詰まった手鏡を塗り直す事でまた息吹きが吹き込まれ生き続けます。
先日の手鏡塗り直しの様子をご紹介致します。
ご覧の写真(塗り直し前)は手持ち部分の塗りは剥げて、木地肌が見えています。
角も何かにぶつけた痕がありへこんでいます。こちらを綺麗に修復して行きます。
先ずは古い漆を剥がす作業から始めます。
コクソ漆でヘラ付け作業の様子です。簡単に言うと車のヘコミを修正するのと同じです。板金の際にキズやヘコミ部分にパテを埋めて、余分なパテは研いで落とし平らにならします。鎌倉彫の修復も同じ様に、傷やヘコミにはコクソ漆を埋め込み、乾燥後、研いで平らにします。
簡単そうに見えますが、このヘラを自在に使いこなせるようになるにも10年から15年程の年月が掛かると言われます。漆の特性を理解し、気温や湿度を見極め、漆の粘質調整が出来る様になり、初めて漆職人と認められると言われます。
鎌倉彫を制作するには彫刻刀はもちろん、漆職人にはヘラと刷毛は欠かす事はできません。
次回は刷毛について詳しくお話します。
【こちらが塗り直し完成の写真です】
新品と見間違える程、綺麗な仕上がりです。
鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫の製品の塗り直しや割れたお盆の修復など承っております。
鎌倉彫のことならお気軽にお問合せください。
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