夏の終わりの漆器のお手入れ。長く美しくお使いいただくための基礎知識

夏の終わりのメンテナンス

皆様、こんにちは。
鎌倉彫専門店「陽雅堂」でございます。

8月も下旬に入り、朝夕の風にわずかながら秋の気配を感じる頃となりました。皆様、今年の夏はどのようにお過ごしになられましたでしょうか。 お盆の帰省やご親戚の集まり、あるいは花火大会や夏祭りなどの活気あふれる夏の行事が一段落したこの時期は、活躍してくれたお道具たちを労わる大切なタイミングでもございます。

本日は、「夏の終わりの漆器のお手入れ」について解説させていただきます。来客用として活躍した「お椀」や、夏のお出かけを彩った「下駄」。大切なお道具を末永く、美しくお使いいただくための基礎知識として、ぜひお役立てくださいませ。

来客用「お椀」の正しい洗い方と保管方法

お手入れの様子

お盆の時期、ご親族やお客様をおもてなしする際に活躍した鎌倉彫のお椀や器たち。漆器と聞くと「お手入れが難しそう」と思われるかもしれませんが、基本のポイントを押さえれば決して面倒なものではございません。

1. 柔らかいスポンジで優しく洗う
ご使用後に長時間の水への浸け置きは避け、なるべく早めに洗ってください。普段お使いの中性洗剤(食器用洗剤)を柔らかいスポンジに含ませて、優しくなでるように洗います。研磨剤入りの洗剤や、硬いタワシ、食洗機のご使用は漆に傷をつけたり剥がれの原因となりますので、絶対にお避けください。

2. すぐに水気を拭き取る
すすぎ終わりましたら自然乾燥ではなく、柔らかい布(ふきんや手ぬぐいなど)で水滴を優しく拭き取ってください。水道水に含まれるカルキ成分が白い水跡として残るのを防ぎ、漆本来の美しい艶を保つことができます。

3. 直射日光と極度の乾燥を避けて保管
漆は「紫外線」と「極度の乾燥」を苦手とします。食器棚にしまう際は、直射日光が当たらない場所を選んでください。また、来客用として長期間使わずに保管する場合は和紙や柔らかい布に包み、乾燥しすぎない低い位置に収納するのがおすすめです。

夏を駆け抜けた「下駄」のメンテナンスと保管

鎌倉彫 陽雅堂

素足で履く夏の下駄は、思いのほか汗などの水分や土埃を吸い込んでいます。来年の夏も美しく履いていただくために、しまう前のひと手間が大変重要です。陽雅堂でお取り扱いしている3つの台(白木、畳表、漆塗り)ごとのメンテナンス方法をご紹介いたします。

1. 共通のお手入れ(陰干しと鼻緒のケア)
どの種類の下駄も共通のお手入れとして、まずは風通しの良い日陰で1〜2日ほど「陰干し」でしっかりと湿気を逃がしてください。直射日光に当てると木が急激に乾燥し、割れる原因となりますのでご注意ください。鼻緒の部分は、柔らかいブラシ(洋服ブラシなど)で軽く撫でるようにホコリを払い落とします。

2. 白木(しらき)の下駄
木目が美しい白木の下駄は、水洗いは厳禁です。固く絞った布(雑巾など)で、木目に沿って全体の汚れをサッと拭き取ります。足の跡が気になる場合も決して水に浸したりせず、固く絞った布での水拭きに留めてください。

3. 畳表(たたみおもて)の下駄
さらりとした感触が魅力の畳表は、水分を嫌います。濡れた布では拭かず、畳の目に沿って柔らかいブラシで丁寧にホコリや汚れを掻き出してください。
擦り傷などに入り込んだ汚れが気になる場合は、消しゴムで優しく擦ってください。

4. 漆塗りの下駄
漆塗りの下駄は、柔らかい布で優しく乾拭きをしてホコリを落とします。汚れが気になる場合は、固く絞った布で拭き取った後、必ず乾拭きをして台に水分を残さないようにしてください。

【※下駄の漆が剥げてしまった場合のご注意】
石畳などを歩き、万が一台の漆が欠けたり剥げてしまった場合、ご自身で市販のマジックペンなどを塗って補修することは絶対にお避けください。塗料の成分が合わず、後から本格的な修理ができなくなる場合がございます。 陽雅堂でお買い上げいただいた下駄につきましては、ご自身で手を加えられる前にまずは店舗までお問い合わせくださいませ。

お手入れの時間も、道具を育てる豊かなひととき

茶托 4.5寸 八方刀痕

使った後の汚れを落とし、状態を確かめながら手入れをする時間。それは決して面倒な作業ではなくお道具への愛着を深め、ご自身の手で「一生もの」へと育てていく豊かなひとときでございます。

少しの気遣いと正しいメンテナンスで、鎌倉彫は世代を超えて美しい艶を放ち続けます。お手入れ方法や修理についてご不明な点がございましたら、いつでも陽雅堂へお声がけくださいませ。

秋の足音が少しずつ近づく鎌倉にて、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


【陽雅堂公式オンラインショップ】
https://shop.yogado.jp/

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神奈川県鎌倉市雪ノ下1-8-30
(鶴岡八幡宮目の前)
平日10:00〜17:00
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受け継がれる手仕事。世代を超えて使い続けられる漆器の堅牢さと「おもてなし」の心

受け継がれる手仕事。世代を超えて使い続けられる漆器の堅牢さと「おもてなし」の心

皆様、こんにちは。
鎌倉彫専門店「陽雅堂」でございます。

8月11日、いよいよお盆休みに入られた方も多いことと存じます。今年はお天気に恵まれ、故郷へ帰省されたり、ご自宅にご親戚やご友人を招いたりと、久しぶりに大人数で賑やかな時間を過ごされるご予定の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

人が集まり、共に食卓を囲むこの特別な季節。本日は、日本の伝統的な「来客用の食器」に込められたおもてなしの心と、世代を超えて「100年使える」と言われる鎌倉彫の強さと美しさの秘密についてお話しさせていただきます。

かつての日本の風景。「来客用の食器」とおもてなしの心

かつての日本の風景。「来客用の食器」とおもてなしの心

少し昔の日本の家には、食器棚の奥に必ずと言っていいほど「来客用の食器」が大切にしまわれていました。普段使いの器とは明確に区別された、少し上等な揃いのお茶碗やお椀たち。お客様がいらした時だけそれらを丁寧に取り出し、お迎えする準備を整えるのが、かつての日本の美しい日常風景でした。

その来客用のお椀として、古くから多くの方に選ばれてきたのが「鎌倉彫」でございます。

現代では、ライフスタイルの変化とともに「普段使い」と「来客用」を厳密に分けないご家庭も増え、鎌倉彫をご自身用の日常使いとして愛用してくださる方がとても多くなりました。しかし、やはり親族や大切なお客様が集まるハレの日に、伝統文化の息吹が宿る「本物の漆器」が一つ食卓に並ぶだけで、その場のおもてなしの力が格段にアップするのを感じていただけるはずです。 

使い捨てではない、職人の魂が込められた道具でおもてなしをすることは、言葉以上に「あなたを大切に想っています」という深い敬意を相手に伝えてくれます。

なぜ「100年使える」のか。鎌倉彫の強さと美しさの理由

なぜ「100年使える」のか。鎌倉彫の強さと美しさの理由

「鎌倉彫は100年先まで使える一生もの」と表現されることがございますが、これは決して大げさな言葉ではありません。その圧倒的な堅牢さ(丈夫さ)と美しさは、職人たちの気の遠くなるような手仕事の積み重ねによって生み出されています。

鎌倉彫の工程は、大きく分けて「木地づくり」「彫り」「塗り」の3つの段階に分かれます。

まずは、桂や銀杏などの原木を半年以上かけてしっかりと乾燥させ、狂いのない丈夫な「木地」を作ります。次に、熟練の彫刻師が小刀や鑿(のみ)を使い、牡丹や唐草といった吉祥文様を力強く「彫り」込んでいきます。

そして、鎌倉彫の最大の強さの秘密が、最後の「塗り」の工程にあります。 木地に直接漆を塗るのではなく、まずは漆を何度も摺り込んでは拭き取る「木地固め」を行い、その上に下塗り、中塗り、上塗りと、質の高い天然漆を幾重にも塗り重ねていきます。漆は完全に硬化すると、酸やアルカリ、熱や水分にも非常に強い、天然のコーティング材となります。 さらに鎌倉彫では、彫りの陰影を際立たせるために「マコモ」と呼ばれる植物の粉を蒔き、その上から再び漆を塗り重ねて磨き上げます。

このように、幾重にも漆の層を重ねる堅牢な造りこそが、日々の水洗いや熱いお汁にも耐えうる強さを生み、世代を超えて受け継がれる「一生もの」の道具を完成させるのです。

人が集う季節に。おもてなしの格を上げる「汁椀」

本日は、ご親族が集まる食卓を格調高く彩り、日常使いとしても長く愛用できる基本のお道具をご紹介いたします。

鎌倉彫 汁椀 

汁椀

和の食卓に欠かせないのが、お味噌汁やお吸い物をいただく「汁椀」です。幾重にも漆が塗り重ねられた鎌倉彫の汁椀は、断熱性に優れており、熱いお汁を入れても外側が熱くなりにくく、両手でしっかりと包み込むように持つことができます。口当たりも非常に滑らかで、いつものお味噌汁が料亭の味わいのように感じられるはずです。

揃いでいくつかご用意いただくと、来客時に大変重宝いたします。

 → 「鎌倉彫 汁椀」をオンラインショップで見る

時を重ねるごとに増す、漆の艶とともに

時を重ねるごとに増す、漆の艶とともに

使い捨てのものが溢れる現代において、丁寧に作られた道具を長く大切に使うことは、暮らしそのものを豊かにしてくれます。 鎌倉彫の漆は、皆様の手で毎日使い込まれ、洗われ、拭かれることで、年月とともに奥底から美しい艶を放つように育っていきます。

このお盆は、受け継がれる手仕事の器とともに、ご家族や大切な方と心温まる団欒のひとときをお過ごしくださいませ。

陽雅堂の店舗、そしてオンラインショップにて、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。受け継がれる手仕事。世代を超えて使い続けられる漆器の堅牢さと「おもてなし」の心

店舗、そしてオンラインショップにて、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


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目から涼をとる夏のおもてなし。冷茶を運ぶ凛とした「丸盆」のしつらえと茶托

目から涼をとる夏のおもてなし。冷茶を運ぶ凛とした「丸盆」のしつらえと茶托

皆様、こんにちは。
鎌倉彫専門店「陽雅堂」でございます。

8月に入り、連日うだるような厳しい暑さが続いております。空には入道雲が湧き上がり、夏本番の力強い日差しが鎌倉の街にも降り注いでおりますが、皆様いかがお過ごしでございましょうか。

来週にはお盆を控え、ご自宅にご親戚やご友人を招くなど、来客の機会が増える時期でもございます。本日は、うだるような暑さの中をご訪問くださるお客様へ向けた「涼」の演出と、おもてなしの心を形にする「お盆」と「茶托」の役割についてお話しさせていただきます。

暑い中お越しくださるお客様へ。「目から涼をとる」おもてなし

暑い中お越しくださるお客様へ。「目から涼をとる」おもてなし

真夏の強い日差しの中、汗を拭いながら足を運んでくださったお客様。お迎えするにあたり、まずは心地よく冷えた涼しいお部屋へご案内することが、何よりのご馳走であり第一のおもてなしでございます。

しかし、日本のおもてなしの心は、ただ空間の温度を下げることだけにとどまりません。ガラスの器に注がれた冷たい緑茶の涼やかな緑色や、氷を浮かべたような瑞々しい夏の水菓子(和菓子)など、「視覚」から涼しさを感じていただく工夫こそが、季節感を大切にする日本人ならではの細やかな心配りと言えます。

おもてなしの心を形にする「お盆」と「茶托」の役割

おもてなしの心を形にする「お盆」と「茶托」の役割

そんな冷たいお茶や水菓子をお出しする際、決して欠かすことができないのが「お盆」と「茶托(ちゃたく)」の存在です。

お盆は、単に一度に複数のものを運ぶための便利な道具ではございません。お茶やお菓子をお盆に乗せるという行為には、日常の空間と切り離し、「あなたのために特別にご用意したものです」という相手への深い敬意を表す意味が込められています。 また、茶托には、冷たいお茶を入れたグラスに結露した水滴を受け止め、大切なテーブルを濡らさないようにするという実用的な役割と同時に、飲み物の格を一段引き上げ、改まった場にふさわしいしつらえにするという重要な役割がございます。

こうしたおもてなしの場において、プラスチック製品ではなく、職人の手によって作られた本物の「鎌倉彫」のお道具をお使いいただくこと。それは、お迎えするお客様への最大限の歓迎の意であり、もてなす側の品格と丁寧な暮らしぶりを静かに物語ってくれるのです。

夏の食卓に涼を呼ぶ。陽雅堂のおすすめ2選

本日は、夏の涼やかなおもてなしにふさわしい、彫りが浅くすっきりとした意匠のおすすめのお道具を2点ご紹介いたします。

鎌倉彫 茶托 3.5寸 八方刀痕

茶托 3.5寸 八方刀痕

3.5寸(約10.5cm)の、使い勝手の良い小ぶりな茶托でございます。「八方刀痕」とは、中心から外側に向かって放射状に力強い刀の痕(彫り目)を残した、鎌倉彫ならではのシンプルでモダンな意匠です。余計な装飾を削ぎ落としたシャープな彫りは、冷茶を注いだガラスのコップと抜群の相性を誇ります。漆の深い色合いが、グラスに滴る水滴をいっそう涼しげに、美しく引き立ててくれる名脇役です。 

「鎌倉彫 茶托 3.5寸 八方刀痕」をオンラインショップで見る

丸盆 7寸 紫陽花

丸盆 7寸 紫陽花

お客様へお茶とお菓子を運ぶのにちょうど良い、7寸(約21cm)の丸盆です。初夏を代表する花である「紫陽花」が、浅く上品な彫りで表現されています。紫陽花は梅雨の時期の花ではございますが、伝統工芸の世界においては、雨上がりの瑞々しさや涼やかさを呼び起こす意匠として、盛夏のおもてなしにも大変喜ばれます。決して主張しすぎない凛とした彫りが、上に乗せる器や水菓子の美しさを優しく受け止め、涼を呼ぶ空間を完成させてくれます。 

「丸盆 7寸 紫陽花」をオンラインショップで見る

心を尽くした道具で、涼やかなひとときを

心を尽くした道具で、涼やかなひとときを

暑い日のおもてなしは、準備をする側にとっても大変なものですが、美しい道具が一つあるだけで、お客様をお迎えする所作に自然と自信とゆとりが生まれます。

目から涼をとる、凛とした鎌倉彫のしつらえ。 この夏はぜひ、本物の伝統工芸品とともに、大切な方と心穏やかな涼のひとときをお過ごしくださいませ。

陽雅堂の店舗、そしてオンラインショップにて、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


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