鎌倉彫の修復と塗り直し

【鎌倉彫の修復・修理について】
大切にしていたお盆を落として割ってしまった。
縁が欠けてしまった。そんな経験はありませんか?
『残念だけど捨ててしまう』と言うのは勿体ないです。

鎌倉彫の修復及び塗り直しで甦らせてはいかがですか?本日は鎌倉彫の飾り盆を落として欠けさせてしまったお客様から修復と塗り直しのご依頼を受け、修理したお話しのご紹介です。

こちらの飾り盆はよく見ると【鯛の飾り盆】です。
裏には新築落成記念の文字が書かれておりました。お客様にとっては大事な記念の品です。

今回はこちらを修復していきます

縁が3㎝ほど欠けているので、埋め木(うめき)をしていきます

裏面は経年使用で下地も削れ素地が覗いています

裏面の縁から中央に向かって中でひび割れています。こちらも修復します

縁の欠けた部分に埋め木をしていきます。今回は欠けたパーツが残っていませんので、欠けた部分より大きく彫込み、新たなパーツを作り埋め木しました

多少の段差はあるものの、コクソ漆で平らに仕上げていくので、最終的には段差は無くなります

こちらの写真は埋め木後にコクソ漆で埋めた状態です。コクソ漆は3~4日すると乾燥する。完全に乾燥したら耐水ペーパーで水研ぎを行います。コクソ漆は乾燥すると境目に痩せがくるので更にコクソ漆を盛ります。この工程を3回〜4回繰り返し修復完了

ここからは塗り直しの作業になります。表面の古い塗装を280番の粗目の耐水ペーパーで水研ぎしながら細かなキズを拾い、大きな傷はコクソ漆でヘラ付けしながら凹凸を滑らかにします。研ぎを繰り返し行うことで、丈夫な下地が出来上がります。
全ての工程を撮影したわけではありませんが、修復には多くの作業工程があり、新規の塗り仕事よりも手間と時間が掛かります

こちらが完成品です。本来の漆の艶に加え、修復部分も綺麗になりました

【勢いのある鯛の飾り盆】です
おめでたい記念品にはぴったりの飾り盆に修復を終え、お客様にも喜んで頂けました

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鎌倉彫陽雅堂では新規の塗り加工に加え、鎌倉彫の修復・修理なども承っております。
熟練した職人が責任をもってお直し致します。修復や塗り直しにはサイズやお直しの内容により金額が異なります。事前にお預かりしてお見積りを致します

基本的にはご来店頂き修理品をお預かり致します。遠方でご来店頂けない場合にはメールにて修復内容が分かる写真をお送りください。(修理品の外寸 たて・よこ・高さ・厚みなど)サイズと希望の内容を明記ください

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鎌倉彫 塗り加工 承ります

【鎌倉彫 塗り加工 承ります】
お稽古事として鎌倉彫の教室は全国に多数存在します。師匠とお弟子さんの関係で鎌倉彫を習う。そんな教室が鎌倉市内にも在ります。

鎌倉彫を主催する大きな団体や組合、個人で生徒さんを抱える教室など、それぞれが独自のスタイルを持ちます。

鎌倉彫の大きな特徴は繊細な彫りと優美な漆塗りに尽きる。どの教室でも彫刻は教えるが、塗りについては希望する生徒さんに限られているのが現状で、実際には塗り工程までは教えない所が殆どのようだ・・・

漆塗りには専門の設備や経験が必要とされるため、鎌倉彫教室で先生が手解きするには難しい部分もある。

また理由のひとつに、生漆にはかぶれ成分があることだ。【漆かぶれとは】うるしの主成分フェノール物質が皮膚のタンパク質に反応して起こるアレルギー現象である。私自身も家業であるこの仕事に携わり、初めて工房に行ったあと、直ぐに目の周りや耳の後ろなど、皮膚の柔らかい部分がかぶれた。直接うるしを触ったわけではないが、特に目の周りが見る見るうちに試合後のボクサーの様に腫れ上がり、1週間ほど医者に通った経験がある。

アレルギー反応は体調によるものが大きく影響するが、今では工房で日々打ち合わせをするが漆かぶれは起きない。抗体ができたのか?今では漆には反応しない。

当工房の職人さんの話では
『腹を下した時は漆をひと舐めしたら一発だよ』
漆には殺菌作用があるからね、
『うちの親父も漆を舐めていたよ』と
笑いながら話してくれた。

鎌倉彫の教室でご自身の作品が彫り上がり、いざ教室で塗り上がりの見積もりを取ってもらうと、結構な金額になるそうです。組合や先生への紹介料などが加わり思った以上の見積もり額になるそうです。

当店では鎌倉彫の塗り加工も承っております。
お見積もりにも自信があります。ご相談ください。
下記の作品はお稽古で鎌倉彫を習っている方から依頼を受け塗り加工の工程写真です。

鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫の新規塗り加工も承っております。
趣味やお稽古で鎌倉彫をなさる方でも、塗り工程は専門家にお任せという方は、是非お任せください。事前にお見積りを致します。

また鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫の修復や塗り直しも承ております。落として割ってしまった鎌倉彫のお盆や、経年による漆の劣化で塗り直しをご希望のお客様は陽雅堂にご相談ください。

新品同様に修復、お直し致します。お気軽にお問合せください。

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鎌倉彫 塗り直し 茶托編 vol.1

皆さま こんにちは 本日は
【鎌倉彫の茶托の塗り直しと修理のお話しです】

日ごろからお客様に「鎌倉彫の扱い方やお手入れ方法が分からないから教えて欲しい」と非常に多くの声を頂きます。私どもは「さほど神経質にならずに、普段使いをしてください」とお話します。

ここでの普段使いとは、生活の一部として食事をする時などに和食器としてお使い頂く事と考えておりますが、

お客様からは「キズにしたら大変・・・」
「高価だから使えない・・・」と返ってきます。

そんな時私は、「どんどん使わないと勿体ないですよ」「漆が育ちませんよ・・・」とお話します。

お客様『えぇ? うるしって育つの?」
私『はい、うるしは育ちますよ』とお答えします。

ここで言う『うるしが育つとは』実際には漆の変化を楽しんでくださいと言う意味です。

漆製品は塗りたて、完成直後は色がくすんでいます。それは使い始めひと月もすると、段々と色味が明るくなり、漆に透明感が出てきます。飴色に透き通った漆が輝きを増し、光沢感がでてきます。これは空気に触れる事により、漆が酸化して透明感を増すからです。

高価なものだからと言って、箱の中に入れっぱなしにしていると空気に触れることもなく、漆の成長も止まってしまいます。鎌倉彫は使う程に艶が増し高級感が出てきます。また長年お使い頂いた品でも塗り直す事により新品に直すことが出来ます。

石川県輪島市の伝統工芸品『輪島塗』は能登の旅館に卸した製品を定期的に回収して塗り直す文化があります。これはとても高価な輪島塗を一般に普及させることで輪島塗に携わる職人が考えた生きるすべでもあります。ですから普段使いして漆の変化を楽しまないと勿体ないと言う意味に繋がります。

今回は先日お預かりした茶托の塗り直し工程を写真と共に、皆様にご紹介致します。
下記の写真はお客様からお預かり時点の茶托です。

5枚の茶托の内、1枚はひび割れています。

こんな状態でも修理が可能です。

丁寧に古い塗装面を280番の耐水ペーパーで水研ぎを行い、落としていきます。

ひび割れた部分は木工用ボンドで仮止めした後、初めのひび割れた部分に溝を彫り、コクソ漆で錆止めして接着します。コクソ漆は3〜4日で乾燥するとやせが来るので、この工程を2〜3度繰り返します。

中塗りは朱漆を均一に塗る。工房ごと朱漆の調合具合は異なります。

上塗り朱漆が乾き上る直前にマコモの粉を塗装面に蒔きつける。焦げ茶色のマコモの粉を蒔きつけることで、漆の中にマコモの粒子が沈み、これを乾いてから研ぎ出すことで鎌倉彫の特徴でもある乾口塗(ひくちぬり)の独特な渋みのある色合いが出来上がります。

作業の工程はここまでで、完成品はこちら

塗り直すことにより新品同様に生まれ変わります。

鎌倉彫陽雅堂では、今回ご紹介致しました茶托の塗り直しなど鎌倉彫製品の塗り直し、修復など、お直しに関してのご相談を承ります。割れてしまったお盆や漆が剥げて見栄えが悪くなった製品の修復など致します。修復費用は製品の大きさや種類、修理の内容によって異なります。事前にお見積り致します。

お見積りは基本的に製品をお預かりして取らせて頂きます。ご来店ください。遠方でご来店頂けない場合にはメールで写真をお送りください。ご希望する修理内容をお伝えください。
(製品の状態が分かる様に表と裏の写真、製品の寸法を明記ください)
*また状態や修理内容に寄り、お断りする場合も御座います。予めご了承ください。

塗り直しや修理に限らず鎌倉彫関連のご相談、オーダー品などお問合せください。
記念品・結婚のお引き出物など多数商品を取り揃えております。

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鎌倉彫 塗り直し 手鏡編 vol.3

伝統工芸品に指定される『鎌倉彫』
その鎌倉彫は匠な彫刻技と漆の優雅な光沢が織り成す美しさで人々を引きつける。

そんな鎌倉彫の修復についてお話します。
今回は鎌倉彫の手鏡の修繕(塗り直し)についてお伝えします。
先日ご依頼を頂き、古来より伝統的な角手の形をした手鏡をお預かりしました。
表面は漆の艶がとび、小傷と凹みが目立つ状態でした。こちらを工房で修繕していきます。

作業前 表面は漆の劣化と縁に凹みキズがあります
作業前 表面:漆が乾き艶もなく凹みキズが目立ちます
作業前 鏡面:縁にすれ傷があります
作業前 鏡表面:縁にすれ傷や凹みがあります
作業前 手鏡の持ち手部分に凹みや小傷かあります

先ずは作業に入る前に鏡を外します
今回は鏡の交換もご依頼頂きました

280番の粗目の耐水ペーパーで古い塗装面を水研ぎしながら丁寧に落とします。中の塗装面が表れたら、ヘラで錆漆しを(サビうるし)錆付けする。錆漆は生漆と砥の粉を混ぜたもの(漆のペースト状のもの)錆付けが終わり乾燥したら耐水ペーパーでサビ研ぎして滑らかに仕上げます。

この錆付けと錆研ぎの下地作りの工程をきちんと行わないと、次の黒中塗りの漆の喰い付きが悪く漆が剥がれてしまいます。丈夫で長持ちしする漆塗り製品は下地工程に時間を掛けます。

【黒漆で中塗り工程がこちら】中塗りの作業は、黒塗り➡乾燥➡水研ぎを4回繰り返す。工房ごと工程や塗り回数に違いはありますが、当工房は4回繰り返すことで肉が付き丈夫な漆の層を作ります。また漆は季節に寄って乾き具合に違いが出ます。漆の乾きが遅い時期は漆室(うるしむろ)の室内の湿度(しつど)を上げ調整します。漆が急激に乾燥すると表面に縮みが生じ仕上がりに影響を及ぼす。そのため湿度調整が重要となります。

黒中完成写真 鎌倉彫陽雅堂

【黒中塗り完成写真】
黒中塗り➡乾燥➡水研ぎを4回繰り返し中塗りが完成した状態がこちら
漆の小さなつぶや気泡(きほう)など均一にするため水研ぎは重要な工程である。

黒中(鏡面)完成写真 鎌倉彫陽雅堂

【上塗り工程】ここから上塗り工程に移ります。

【上塗り工程】
漆に朱の粉を混ぜた朱漆を作る。朱漆で上塗りした後に、生乾きの状態を見計らい、マコモを刷毛で蒔きつける。乾燥後、布に水と砥の粉をつけたものでマコモを研ぎ出す。このマコモ研ぎは彫刻の高低差と塗り色の明暗を表現するもので、研ぎの加減は職人の経験に頼るもの。強く研ぎ過ぎると下の層が表れ、弱いと彫りの模様が現れず、漆色の明暗もはっきりせず、仕上がりに立体感が生まれない。更に生の漆で漆拭き➡乾燥➡漆拭きを繰り返す。この工程を3回繰り返すことで表面を固め丈夫さと上品な艶が生まれます。

こうして・・・
『鎌倉彫』は味わい深く魅了するものとなります。

【塗り直し完成の様子がこちらです】

【完成品がこちら】
「しっとりした漆の質感」
「匠な彫刻の美しさが表れます」

塗り直し完成品 鎌倉彫陽雅堂
表面の完成の様子

丁寧に塗りと研ぎを繰り返すことで
「彫刻をより際立たせ」
「優雅な漆の艶が生まれる」

鏡の持ち手部分もこの様な状態に仕上がります
鏡面も綺麗に仕上がっております
塗り直し完成品 鎌倉彫陽雅堂
塗り直し完成品 鎌倉彫陽雅堂

鎌倉彫陽雅堂では、今回ご紹介致しました手鏡の塗り直しなど鎌倉彫製品の塗り直し、修復など、お直しに関してのご相談を承ります。割れてしまったお盆や漆が剥げて見栄えが悪くなった製品の修復など致します。修復費用は製品の大きさや種類、修理の内容によって異なります。事前にお見積り致します。

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お客様には安心してお預け頂けるように努めて参ります。

塗り直しや修理に限らず鎌倉彫関連のご相談、オーダー品などお問合せください。
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鎌倉彫 塗り直し 手鏡編 vol.2

鎌倉彫手鏡の塗り直しのお話

日頃、手鏡の塗り直しについてお問合せを頂きます。漆器製品は長くお使い頂くと、下地層の漆が現れます。これは表面の漆が擦れることで、所々に下地に使われる黒塗りが覗き、アンティーク感が増し、何よりも時の経過と共に愛着が湧いてきます。

鎌倉彫は下地→中塗り→上塗りの順に、幾重にも塗りを重ねることで丈夫に仕上げることが出来ます。母から娘へと受け継がれた手鏡など古傷ひとつにも想い出があります。

そんな想いの詰まった手鏡を塗り直す事でまた息吹きが吹き込まれ生き続けます。

先日の手鏡塗り直しの様子をご紹介致します。

ご覧の写真(塗り直し前)は手持ち部分の塗りは剥げて、木地肌が見えています。
角も何かにぶつけた痕がありへこんでいます。こちらを綺麗に修復して行きます。

先ずは古い漆を剥がす作業から始めます。

コクソ漆でヘラ付け作業の様子です。簡単に言うと車のヘコミを修正するのと同じです。板金の際にキズやヘコミ部分にパテを埋めて、余分なパテは研いで落とし平らにならします。鎌倉彫の修復も同じ様に、傷やヘコミにはコクソ漆を埋め込み、乾燥後、研いで平らにします。

簡単そうに見えますが、このヘラを自在に使いこなせるようになるにも10年から15年程の年月が掛かると言われます。漆の特性を理解し、気温や湿度を見極め、漆の粘質調整が出来る様になり、初めて漆職人と認められると言われます。

鎌倉彫を制作するには彫刻刀はもちろん、漆職人にはヘラと刷毛は欠かす事はできません。
次回は刷毛について詳しくお話します。

こちらが塗り直し完成の写真です
新品と見間違える程、綺麗な仕上がりです。

鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫の製品の塗り直しや割れたお盆の修復など承っております。
鎌倉彫のことならお気軽にお問合せください。

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