鎌倉彫 塗り直し 茶托編 vol.1

皆さま こんにちは 本日は
【鎌倉彫の茶托の塗り直しと修理のお話しです】

日ごろからお客様に「鎌倉彫の扱い方やお手入れ方法が分からないから教えて欲しい」と非常に多くの声を頂きます。私どもは「さほど神経質にならずに、普段使いをしてください」とお話します。

ここでの普段使いとは、生活の一部として食事をする時などに和食器としてお使い頂く事と考えておりますが、

お客様からは「キズにしたら大変・・・」
「高価だから使えない・・・」と返ってきます。

そんな時私は、「どんどん使わないと勿体ないですよ」「漆が育ちませんよ・・・」とお話します。

お客様『えぇ? うるしって育つの?」
私『はい、うるしは育ちますよ』とお答えします。

ここで言う『うるしが育つとは』実際には漆の変化を楽しんでくださいと言う意味です。

漆製品は塗りたて、完成直後は色がくすんでいます。それは使い始めひと月もすると、段々と色味が明るくなり、漆に透明感が出てきます。飴色に透き通った漆が輝きを増し、光沢感がでてきます。これは空気に触れる事により、漆が酸化して透明感を増すからです。

高価なものだからと言って、箱の中に入れっぱなしにしていると空気に触れることもなく、漆の成長も止まってしまいます。鎌倉彫は使う程に艶が増し高級感が出てきます。また長年お使い頂いた品でも塗り直す事により新品に直すことが出来ます。

石川県輪島市の伝統工芸品『輪島塗』は能登の旅館に卸した製品を定期的に回収して塗り直す文化があります。これはとても高価な輪島塗を一般に普及させることで輪島塗に携わる職人が考えた生きるすべでもあります。ですから普段使いして漆の変化を楽しまないと勿体ないと言う意味に繋がります。

今回は先日お預かりした茶托の塗り直し工程を写真と共に、皆様にご紹介致します。
下記の写真はお客様からお預かり時点の茶托です。

5枚の茶托の内、1枚はひび割れています。

こんな状態でも修理が可能です。

丁寧に古い塗装面を280番の耐水ペーパーで水研ぎを行い、落としていきます。

ひび割れた部分は木工用ボンドで仮止めした後、初めのひび割れた部分に溝を彫り、コクソ漆で錆止めして接着します。コクソ漆は3〜4日で乾燥するとやせが来るので、この工程を2〜3度繰り返します。

中塗りは朱漆を均一に塗る。工房ごと朱漆の調合具合は異なります。

上塗り朱漆が乾き上る直前にマコモの粉を塗装面に蒔きつける。焦げ茶色のマコモの粉を蒔きつけることで、漆の中にマコモの粒子が沈み、これを乾いてから研ぎ出すことで鎌倉彫の特徴でもある乾口塗(ひくちぬり)の独特な渋みのある色合いが出来上がります。

作業の工程はここまでで、完成品はこちら

塗り直すことにより新品同様に生まれ変わります。

鎌倉彫陽雅堂では、今回ご紹介致しました茶托の塗り直しなど鎌倉彫製品の塗り直し、修復など、お直しに関してのご相談を承ります。割れてしまったお盆や漆が剥げて見栄えが悪くなった製品の修復など致します。修復費用は製品の大きさや種類、修理の内容によって異なります。事前にお見積り致します。

お見積りは基本的に製品をお預かりして取らせて頂きます。ご来店ください。遠方でご来店頂けない場合にはメールで写真をお送りください。ご希望する修理内容をお伝えください。
(製品の状態が分かる様に表と裏の写真、製品の寸法を明記ください)
*また状態や修理内容に寄り、お断りする場合も御座います。予めご了承ください。

塗り直しや修理に限らず鎌倉彫関連のご相談、オーダー品などお問合せください。
記念品・結婚のお引き出物など多数商品を取り揃えております。

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