鎌倉彫丸盆の塗り直しとは

鎌倉彫は木製品に文様を彫刻し、漆を塗って仕上げられた工芸品です。
漆塗り製品は耐久性に優れ、日常的に使用するお盆や菓子器、茶托などがあります。
長年ご使用になった漆製品もご覧の様に塗装が劣化し、剥がれる事が御座います。

今回は鎌倉彫のお盆の塗り直しについてお話致します。
先日、お客様からのお問合せにより鎌倉彫のお盆の塗り直しのご依頼を承りました。

下記の写真の様に、表面の漆塗装が剥がれ木目が見えています。
こちらを修復する過程をご紹介致します。

表面も所々ぶつけた小傷や漆の表面が浮いてきています。この様な状態になったら塗り直しのタイミングです。作業は古い塗装面(漆の層)を剥がすことから始めます。

裏面にもヘコミがあるため、コクソ漆でヘコミを埋める作業もします。

下記の写真が丁寧に古い塗装を落とし終えた状態です。古い塗装は280番の粗目の耐水ペーパーで水研ぎを行いながら落としていきます。(古い漆塗装を剥がす)その際、細かな小傷は消えます。

耐水ペーパー280番で古い塗装膜を落とす 鎌倉彫陽雅堂

ここからは作業の工程順の写真になります。先ずは下地の作り直し作業です。

こちらが完成品です。今回のお盆は総彫でサイズが尺1(33㎝)と大きく作業には1ヵ月半を要しました。

鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品
鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品

ご覧の様に縁に多数あった小傷は消え、新品同様に生まれ変わりました。

鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品

菊の花びらが全体の乾口塗(ひくちぬり)よりも明るく見えるのは、上塗り段階で研ぎの作業を強めにすることにより、中塗りの朱が表面に覗いてくる為です。

鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品
鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品
鎌倉彫陽雅堂丸盆総菊彫 完成品
鎌倉彫陽雅堂工房作業風景 下地作り
鎌倉彫陽雅堂工房作業風景 中塗りマコモ蒔き作業
鎌倉彫陽雅堂工房作業風景 室(むろ)の中で湿度を保ちながら漆を乾燥させる

鎌倉彫陽雅堂ではお盆や菓子皿、茶托など塗り直しも承っております。塗り工程や製品のサイズにより修理費が異なる為、塗り直しをご希望のお客様はお問合せください。その際事前にお見積り致します。

鎌倉彫丸盆修理と塗り直し
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鎌倉彫陽雅堂は休まず営業致します。
営業時間(年中無休) 
平日9:00~17:30
土日9:00~18:00

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鎌倉彫陽雅堂 ☎ 0467‐25‐3736

箸箱の修理と塗り直し

箸箱の修理と塗り直し
鎌倉彫の二膳入れ箸箱の修理を承りました。
こちらの箸箱は長年ご愛用され、表面の漆が剥がれ傷も目立つ為、塗り直しの依頼を受けました。ご覧の様に所々、表面はすれて下地が見えている状態です。早速工房にて修理に入ります。

中蓋もこの様に下地が覗いています。中も外も全面塗り直しになります。

裏面も角がすれています。先ずは古い塗装を剥がす作業からです。

こちらの箸箱は引き出し式の箸箱です。引手部分が割れて、ひびが入っています。
こちらは差し直しの作業が必要です。

それでは作業開始です。

先ずは、引手部分を新たに作り、差し直し、全体の表面に合わせて刀痕を彫ります。
完全に差し直すと組み上げが困難でバラバラになってしますので今回は古い引手をカンナで薄く削り、新たに張り合わせる事にしました。

内側のひび割れも、後からさび付けをして、しっかり修復します。

【下記の写真が修理の工程です】

こちらが完成品の写真です。

箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂

ご覧の様に引手部分も綺麗に直りました。

箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂
箸箱二膳入れ修理と塗り直し  鎌倉彫陽雅堂

鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫のお直しも承ります。
特にご依頼を多く頂くのが、丸盆や菓子皿など日常使いのものです。
想い出の詰まった鎌倉彫を綺麗に直すことで、その後も永くお使い頂けます。

今回の修理期間は1ヵ月半頂きました。修理費用も品物の状態や大きさにより、それぞれ異なります。修理をご希望されるお客様はお問合せください。事前にお見積りを致します。

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鎌倉彫 塗り直し 手鏡編

鎌倉彫の手鏡の塗り直し
長年お使いの手鏡の塗り直しと鏡面の縁に入ったひび割れの修復を依頼されました。

持ち手部分の漆塗装が剥げ、下地が覗いています。古い漆を耐水ペーパーで落とす事から始めます。

鏡面には落下させてできたひび割れがあります。

丁寧に耐水ペーパーで漆を落とすと下地が出てきます。

下地が表れてきたら、小傷を拾い、砥の粉で埋める作業を致します。

こちらが中塗り、当店の中塗りは渋めに仕上げる目的で黒中(黒漆しを中塗りに使う)を使用します。

その後仕上げの本塗り作業

本塗りが乾く直前にマコモを蒔きます。マコモはイネ科の多年草。マコモを蒔くことで、彫刻の高低差に陰影が生まれます。

こちらが完成品です。

見違える程に美しく仕上がります。

鎌倉彫陽雅堂では、丸盆や菓子皿の他に、手鏡や茶托などの塗り直し、修理も承ります。
品物の大きさなどによりお見積りが異なる為、実物をお預かりしてからお出し致します。

鎌倉彫の修理・塗り直し手鏡編 vol.2
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稀に商品の状態により修理をお断りする場合が御座います。
予めご了承ください。

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鎌倉彫の塗り直し・修理

本日は鎌倉彫の塗り直し・修理についてのお話です。
長年お使いになられて、表面が劣化してしまった鎌倉彫のお盆や菓子皿も塗り直しをすることで綺麗に甦ります。

先日、お問合せ頂きましたお客様からの依頼を受け、写真の春日盆(かすがぼん)の塗り直しを行いました。表面には艶が無く所々塗装が剥げていました。

鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)

古い漆の塗装面を耐水ペーパーを使い、落としていくと、縁の部分にひび割れも見つかりました。先ずはひび割れの修復作業を行います。

鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)

ひび割れた部分を三角刀で、その部分より深くかいこみします。
かいこみとは、もともとあった修復部分よりも深く彫り込みをいれ、コクソ(漆に木粉を混ぜたもの)を盛り、木固め(きがため)をする。コクソが乾くのに4日~5日掛かり、乾くと肉が痩せるので、この工程を2,3度繰り返します。

鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)

コクソを高めに盛り、完全に乾燥したら余分な肉をペーパーで落とし、滑らかにします。
ひび割れした部分の継ぎめはコクソで木固めをし補強することで直ります。

鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)

この時点で継めは完全に無くなります。

鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 修理工程(鎌倉彫陽雅堂)

裏面は刷毛目を書き直します。

鎌倉彫春日盆 完成品(鎌倉彫陽雅堂)

こちらが完成品です。

鎌倉彫春日盆 完成品(鎌倉彫陽雅堂)

元々の色よりも濃い目に仕上がっておりますが、お使いになるにつれ、自然な漆の光沢と色合いになって来ます。今回の塗り直し・修理に掛かった期間は45日程度です。

鎌倉彫春日盆9寸塗り直し・ひび割れ修理に掛かった費用は12,000円(税込)です。
修理などご依頼される場合、品物の大きさ、塗り手法、お預かりの状態によって価格は異なりますが、事前にお見積りをお出し致します。上記修理費には送料は含まれておりません。

鎌倉彫春日盆 完成品(鎌倉彫陽雅堂)
鎌倉彫春日盆 完成品(鎌倉彫陽雅堂)

直接ご来店できないお客様でも、お問合せください。
店舗へ修理品をお送り頂き、お見積りさせて頂きます。
注意:落下させ割れてしまったお盆などは、接着剤など使用せずに、割れた状態で、すべてのパーツをお送り下さい。

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鎌倉彫丸盆修理と塗り直し

本日は鎌倉彫の丸盆の修理についてお話し致します。

お客様より丸盆の修理についてお問合せを頂きました。
お客様:「大切にしていた鎌倉彫のお盆を落として割ってしまった」
この様なお問合せをメールで頂き、下記の写真まで送って頂きました。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

落とした際に角が欠けてしまったご様子でした。今回は欠けた部分の修復と塗り直しのご依頼を受けました。幸いの事に欠けたパーツも全て揃っておりましたので元の状態に修復が可能です。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

先ずは欠けた部分の修復です。欠けたパーツを元の状態に合わせ、木工用ボンドで仮止めします。2日間乾燥させた状態から、継ぎ目に彫刻刀で溝を彫ります。裏も表も溝が彫れたら、その部分にコクソ漆を埋め、傷口の修復をします。そのまま4~5日ほど乾燥させる。(コクソ漆は生漆(きうるし)とのりを等量に混ぜ、木粉とコクソを混ぜ練り合わせたパテ状のもの)このコクソ漆は重箱などの継ぎ目やお椀などの下地に使用します。乾くと強度が増し、下地の他、古来から漆器製品の接着剤として使用されてきました。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

継ぎ目にコクソ漆でかいこみした部分も、乾燥すると漆が痩せ(やせ)てくるので、この工程を2~3度繰り返します。完全に乾いた状態で下地と継ぎ目が一体になる様にペーパーで滑らかにします。ここまでが欠けたパーツの修復作業です。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

写真の様に修復部分が直っています。継ぎ目も全く分かりません。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

こちらが完成した写真です。
新品同様の仕上がりにお客様も喜んで頂きました。

鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂
鎌倉彫丸盆の修理と塗り直し 鎌倉彫陽雅堂

鎌倉彫陽雅堂では鎌倉彫の塗り直しや修理なども承ります。塗り直し、修理費は製品の状態やお客様のご要望やお直しする方法によって異なります。

事前にお見積り致します。ご相談ください。

鎌倉彫丸盆の塗り直しとは
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