長年愛用された鎌倉彫の手鏡の塗り直しの依頼を受けました。
写真の様に手持ち部分は木地が見えるまで剥げて、表面には無数のすれ傷が入り、経年の劣化を感じる状態でした。
お客様から「祖母の形見なんです…」
店…「それでは心してお預かり致します」と
そんな会話のなか、手鏡の塗り直し修理を受けました。
工房にて表面の古い漆しを落としていきます。
同時に小さな傷も丁寧に水を付けながら耐水ペーパーで水研ぎをして滑らかにしていきます。小さな傷は耐水ペーパーを当てる事で傷は目立たなくなります。大きな傷やヘコミ部分には、生漆(きうるし)に砥の粉(とのこ)と水を混ぜ、練り合わせた下地さびをパテとして傷穴にヘラで埋めて平らにします。
手鏡の持ち手部分には古い漆と汚れが残っていますが、塗り直す前には、汚れや古い塗装面を耐水ペーターで全て落とします。この時使用する耐水ペーパーは粗目の280番~400番のペーパーを使用します。
表面を磨き落とす際に、柄の縁部分だけ三角刀で縁取り(ふちどり)していきます。こうする事で元の輪郭が蘇えり綺麗に仕上がります。
下記写真が完成後の手鏡です。
見違える様に綺麗な仕上がりです。
輪郭も埋まることなく、はっきり縁取りが見えます。手間を惜しまず、手仕事による鎌倉彫の塗直し工程です。
こちらのお客様は鏡の交換も希望されました。
手鏡の塗り直し工賃は状態や作業内容によって異なります。
今回は塗り直し+鏡交換で総額17,000円を頂戴しました。
決して安い値段ではありませんが、お客様にとっては大切な形見の品です。これからもご愛用頂ける事と願っております。
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