伝統工芸品に指定される『鎌倉彫』
その鎌倉彫は匠な彫刻技と漆の優雅な光沢が織り成す美しさで人々を引きつける。
そんな鎌倉彫の修復についてお話します。
今回は鎌倉彫の手鏡の修繕(塗り直し)についてお伝えします。
先日ご依頼を頂き、古来より伝統的な角手の形をした手鏡をお預かりしました。
表面は漆の艶がとび、小傷と凹みが目立つ状態でした。こちらを工房で修繕していきます。
鏡を外す 作業開始 作業開始 丁寧にペーパー掛け 古い漆塗装を剥がす 古い漆塗装を剥がす 錆付けでヘコミの修復 錆付け完了後 黒中塗り 黒中塗り完成(表面) 黒中塗り完成(裏面) 上塗り工程 上塗り完成(表面) 上塗り完成(裏面) 図柄以外の研ぎ出し 研ぎ出し作業(裏面) 研ぎ出し終了(裏面) 研ぎ出し終了 完成
先ずは作業に入る前に鏡を外します
今回は鏡の交換もご依頼頂きました
280番の粗目の耐水ペーパーで古い塗装面を水研ぎしながら丁寧に落とします。中の塗装面が表れたら、ヘラで錆漆しを(サビうるし)錆付けする。錆漆は生漆と砥の粉を混ぜたもの(漆のペースト状のもの)錆付けが終わり乾燥したら耐水ペーパーでサビ研ぎして滑らかに仕上げます。
この錆付けと錆研ぎの下地作りの工程をきちんと行わないと、次の黒中塗りの漆の喰い付きが悪く漆が剥がれてしまいます。丈夫で長持ちしする漆塗り製品は下地工程に時間を掛けます。
【黒漆で中塗り工程がこちら】中塗りの作業は、黒塗り➡乾燥➡水研ぎを4回繰り返す。工房ごと工程や塗り回数に違いはありますが、当工房は4回繰り返すことで肉が付き丈夫な漆の層を作ります。また漆は季節に寄って乾き具合に違いが出ます。漆の乾きが遅い時期は漆室(うるしむろ)の室内の湿度(しつど)を上げ調整します。漆が急激に乾燥すると表面に縮みが生じ仕上がりに影響を及ぼす。そのため湿度調整が重要となります。
【黒中塗り完成写真】
黒中塗り➡乾燥➡水研ぎを4回繰り返し中塗りが完成した状態がこちら
漆の小さなつぶや気泡(きほう)など均一にするため水研ぎは重要な工程である。
【上塗り工程】ここから上塗り工程に移ります。
【上塗り工程】
漆に朱の粉を混ぜた朱漆を作る。朱漆で上塗りした後に、生乾きの状態を見計らい、マコモを刷毛で蒔きつける。乾燥後、布に水と砥の粉をつけたものでマコモを研ぎ出す。このマコモ研ぎは彫刻の高低差と塗り色の明暗を表現するもので、研ぎの加減は職人の経験に頼るもの。強く研ぎ過ぎると下の層が表れ、弱いと彫りの模様が現れず、漆色の明暗もはっきりせず、仕上がりに立体感が生まれない。更に生の漆で漆拭き➡乾燥➡漆拭きを繰り返す。この工程を3回繰り返すことで表面を固め丈夫さと上品な艶が生まれます。
こうして・・・
『鎌倉彫』は味わい深く魅了するものとなります。
【塗り直し完成の様子がこちらです】
【完成品がこちら】
「しっとりした漆の質感」
「匠な彫刻の美しさが表れます」
丁寧に塗りと研ぎを繰り返すことで
「彫刻をより際立たせ」
「優雅な漆の艶が生まれる」
鎌倉彫陽雅堂では、今回ご紹介致しました手鏡の塗り直しなど鎌倉彫製品の塗り直し、修復など、お直しに関してのご相談を承ります。割れてしまったお盆や漆が剥げて見栄えが悪くなった製品の修復など致します。修復費用は製品の大きさや種類、修理の内容によって異なります。事前にお見積り致します。
お見積りは基本的に製品をお預かりして取らせて頂きます。ご来店ください。遠方でご来店頂けない場合にはメールで写真をお送りください。ご希望する修理内容をお伝えください。
(製品の状態が分かる様に表と裏の写真、製品の寸法を明記ください)
*また状態や修理内容に寄り、お断りする場合も御座います。予めご了承ください。
お客様には安心してお預け頂けるように努めて参ります。
塗り直しや修理に限らず鎌倉彫関連のご相談、オーダー品などお問合せください。
記念品・結婚のお引き出物など多数商品を取り揃えております。
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